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サトゥルナーリアの日

このアフリカにも冬は来る。
12月中旬から25日まで続くサトゥルナーリアは、冬至の訪れと昼が長くなっていく事を祝う、つまり来年の豊穣を願う祭りだ。
そして、最終日には、みんなにプレゼントをするらしい。
扶桑では、ゆず湯に入り、カボチャを食べるが、残念ながらこのアフリカでゆず湯に入るなんて贅沢は許されていない。
ちょっと残念。

カボチャは真美が腕によりをかけて料理します、と言っていたので、そっちは大丈夫だろう。

「何だ、これは?」
と思ったら、テントの外から声がする。
「ほうとうですよ」
「ホウトウ?」
ちょろっとテントから顔を出すと、すっかり真美専用となった大きな鍋の前で、マルセイユが怪訝な顔をしている。
まあ、そりゃそうだろう。
ほうとうを知っているカールスラント人なんて、そうそういないだろうし。
「それは、扶桑の野菜煮込みパスタよ。タリアテッレみたいな麺だけど」
そう言うと、やっとほっとした顔を浮かべた。
「ふむ、面白そうだな。どれ、一つ貰おうか」
「はい、今用意します」
割烹着姿の真美が、鍋からマルセイユの椀によそう。
ふと周囲を見ると、飯盒を抱えた兵たちが遠巻きにしている。
「あなた方もいらっしゃい。お口にあうかはわからないけど、今日これを食べると、風邪を引かないって扶桑では言うのよ」
そう言うと、わっと兵たちが鍋の前に行列を作る。
あらあら、すっかり真美に餌付けされてしまって。

自分も一つ貰って、テーブルで食べているマルセイユの前に座る。
「なかなかいけるな、これ。ほどよい甘さがいい」
「そうね、カボチャの甘さが冬にはちょうどいいわ」
「え、カボチャが入っているのか?」
マルセイユが顔色を変えて、お椀を見つめている。
何というか、親の敵でも見るような目つきだ。
「…あなた、ひょっとして…カボチャ嫌いとか」
「バカを言うな、この私に好き嫌いなど」
「前にピーマンもダメだとか言ってなかった?」
「気のせいだろう」
軽く汗を垂らしながらマルセイユが答える。
何気に偏食なんだから。
まあ、ほうとうのカボチャは完全に溶かし込んであるから、何とか大丈夫みたい。
箸でしばらくかき混ぜてから、恐る恐る食べている。
ひょっとして、ばさばさしているのがダメとか?
じっとマルセイユを見ていると、慌ててお椀の残りをかき込む。
何というか、意外と子供っぽい…ちょっと待って、この間マルセイユの誕生日だったわよね。
何か、そこで引っかかったんだけど……。
「お、おい、どうした?」
「あーーーー!思い出した!」
「うわ、びっくりした」
いつも冷静なマルセイユが目を丸くしている。
周囲の兵士たちも何ごとか、とこっちを見ている。
慌てて、何でもないと謝罪しつつ、マルセイユの方を向く。
「そういえば、あなたまだ未成年でしょ。飲酒可能年齢になってないはず!」
すっかり大人びた姿に騙されていたので、忘れていたぞ。
「何を言う、カールスラントではもっと早くから…」
「知ってるわ、弱いお酒が16歳で、強いお酒が18歳でしょ、あなた、まだ」
「ふふん、あの程度水と同じだ」
「そーゆー問題じゃなく」
「ここはアフリカ、私が法律だ」
「そんなわけあるかーーー!」

…プレゼントに用意した、各国の銘酒はしばらく封印ね…はぁ。

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